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ごっこ遊び(静臨)

高校時代

未成年喫煙者しずおくん
売春しちゃういざやくん
えろ描写はありません



ポケットに隠した小さな箱から一本取り出す。銜える。安いライターで火を点ける。
まだまだ慣れないその所作に残るぎこちなさを誤魔化すみたいに、上を向いて紫煙を吐いたら、元々俺よりも大分小柄な臨也は珍しくぽかんとした顔でその行方を見上げてた。

「しずちゃん、煙草吸うの」

「ん、あぁ。」

目線は上に遣ったまま気の無い返事。

「…いつから?」

「別にいつでも良いだろが」

俺なんかにぞんざいに扱われるのがよっぽど心外なのか、あいつは少しの間黙り込んで、不機嫌な内情だけが右ななめ下からそれこそ煙みたいに上ってきたけど、気付かないふり。俺は相変わらず臨也の顔を見ないように。
うん、意図的に。

なのに

「…ねえねえしずちゃんしずちゃん。そんな金色のアタマしてて、バカで、ケンカしか能がなくて、挙げ句学校帰りに堂々と煙草なんか吸う高校生なんてもう典型的なヤンキーの手本ていうかそれ以外の何物でもないよね。うわーイタイイタイ。一緒に歩くとか勘弁だなぁまったく。煙草止めなよしずちゃん」

「手前、」


お得意のわざとらしい悪態を吐かれると、相変わらず黙っていられなくて、思わず声のするほうを睨みつけた。しまった。やっぱりまだまだ俺はガキなんだな、って思う。
隙を付かれて半開きの口がくわえた煙草を素早くとりあげて、臨也は俺に悪ふざけみたいな軽いキス。

「…不味い」

「手前なぁ、」

「しずちゃん、やっぱり煙草止めてよ。じゃなきゃもうちゅーしてやんないから」

「…それが脅しになると思ってんのか?」

「可愛くないなぁ」

「うぜぇ死ね。」

自分でも呆れるくらい単純な、お決まりの台詞が口から飛び出したら、あいつは愉しそうにけらけら笑って、俺を置いてふらふら小走りした。

「帰ンのか」

「殺されたくないから逃げる。ばいばい、またあした」

「………ん」


最後に、「煙草止めなよ。」ともう一度言い残して臨也は去っていった。

「うぜぇ死ね」

まただ。
心底自分に呆れて苦い顔をしたら、臨也はもう見えなくなってて、なんだかきまりが悪い。あーくそ、あいつやっぱり殺す。

小さな箱から一本取り出す。銜える。安いライターで火を点ける。
上を向いて煙を吐く。
空はほとんど夜の色で、もう繁華街はネオンでぎらぎらしてんのかなぁと思う。そのぎらぎらに紛れて、あいつはまた車の中とか、狭い部屋の中とか、人気の無い路地とかそういうところで、知らない誰かと煙草味の不味いキスをしてんのかなぁと思う。


「……俺もなかなかあいつに負けない捻れた性格してるよなぁ」


しずちゃん煙草吸うの、って聞いたときのあいつの表情が、さっき俺が意固地になって見ないようにした臨也の顔が、頭の中に浮かんでムカついたから、ぼんやりさせようとして思い切り煙を吸ったら、むせた。

やっぱり俺って、あと二年経たなきゃ煙草吸えないガキなんだな。

吸ってた煙草を革靴で揉み消してから、あいつが走ってった先にあるぎらぎらの気配に背を向けて、俺もふらふら歩きはじめた。

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Author:仲原
そこそこ元気なふじょしです
成人済み。女子と名乗ってよいものか。

移り気ですが、どこにいっても目つきの悪い子がうめえ。

 

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