2018-05

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アップサイドダウン(臨静)





深夜0時過ぎに鳴ったインターホンに迂闊にドアを開けた瞬間、誰かが襲い掛かってくるなんてことも十分にあり得る身の上だとは俺自身誰よりも理解しているけれど、どちら様、なんて問いかけることはしなかった。
静かにドアノブを押しやった先に細身のバーテン服を捉え、やっぱりね、とニヤつく口元を自覚する。

「…何ニヤけてんだよ、気持ち悪ィ」

自分で会いに来たくせに、俺の出迎えに心底不快そうな顔をするシズちゃん。それを見てますます上がる口角と、腹の中に甘ったるい嗜虐心が生まれるのがわかった。


「流石のシズちゃんもいちいちドアを蹴破って侵入しようなんて考えは改めてくれたんだね?」
「手前だけが苦労するって話でもねェからな」
「ふーん、大人になったね」
「黙れ」
「…用件は?」

そんなもの、単細胞のシズちゃんに聞くほうが馬鹿馬鹿しいけど、一応尋ねてあげた。すると案の定たった今までの仏頂面が嘘のように、こめかみに青筋こそ浮かんでいるものの、嫌味のない笑顔でイライラして仕方ねェから手前をぶっ殺しに来た、と。
…さっきの大人になったね、ての訂正するね。
別に今更呆れてなんかいないけれど、わざとらしく首を振りながらへらりと笑う俺に、ますますはっきり浮き出る血管。あぁ、なんだかこっちが不安になる。ぶちって切れそうで。まあ俺の所為なんだけど。

「でもさ、たったそれだけのためにこんな時間に池袋から御苦労様。俺ってば愛されてるんだねぇ?」

それでもニヤニヤしながら軽口を叩けば、喧嘩腰だった口は突然黙り込んだ。

「………」
「おや、否定しない?」


「馬鹿らしすぎて何にも言えねー」
「ひどいなぁ」


案外図星だったりするくせにね、とは言わないでおいた。まぁ何だかんだ言って少なくとも高校の頃に比べたら大人になったシズちゃんは、こんな夜中にマンションの玄関先で暴れることはできないだろうし、俺が大人しくいたぶられてくれるような相手でもないことを解っているはずだ。それにも気付かないでわざわざ俺のところまでやってきてしまったことを指摘してやれば、この愛すべき単細胞は真っ赤なカオのひとつでも晒してくれるのだろうか。それを思うとまた腹の中がぞくりと疼く。


「まぁ上がりなよ。」

いい笑顔で戸口を開ける俺に、はぁ?と予想通りの間抜け面。

ぽかんと開いた唇が不意に目につく。こっそり舌なめずりをしてから、存外細い手首を掴んでぐい、と引いてやった。

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Author:仲原
そこそこ元気なふじょしです
成人済み。女子と名乗ってよいものか。

移り気ですが、どこにいっても目つきの悪い子がうめえ。

 

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